VORTEX VALVE
ベルテクス株式会社様からご依頼いただき製作した災害模型です。
ボルテックスバルブは、雨水貯留施設等の流出口に装着される流量御装置です。取水口から流形成室内に進入した水流は、取水側の水位が一定以上になると旋回して渦流となります。発生した渦流の中心には柱状の空気核 (エアーシャフト) が形成され、この空気柱が流出口の有効断面を減じ、流出量が抑制されます。
流量の制御機能は、装置内に流入する水流自身のエネルギーにより発現するため、特に装置を運転するための電力を必要としません。本装置を使用することで雨水貯留施設の容量低減や貯留機能のアップ、雨水吐・流入渠の流量制御が可能になります。 装置内を通過する水流は水位が低い時点では自然流下により排出されますが、水位がある一定の高さを超えると装置内で渦流を形成し、流出量を抑制します。この水理特性を利用し、ボルテックスバルブは従来のオリフィスの口径を大きくし初期雨水を積極的に排出、水位が上がり一定の高さを超えると装置内の水流は渦流を形成し始め、その後、柱状の空気核 (エアーシャフト) が完成することにより、従来のオリフィスと同じ排出量を実現することができます。 この機能により、ボルテックスバルブは雨水貯留施設の容量を最大20%縮減することができます。
本装置の設計は現場の設置条件と要求される水理性能を満足するように行われます。したがって装置の形状は、個々の現場状況に対して最適化されており、設計流量 (許容放流量) を超えることなく、流量を制御することが できます。また、流出口が従来のオリフィスより大きいため、低い水頭の段階で多くの水量を排出できるだけでなく、装置内に異物が取り込まれても異物は水流とともに装置外に排出されやすく、流出口が閉そくする 恐れは低くなります。
装置の流量制御機能は装置内に取り込まれる水流のエネルギーにより発現するため、装置には電気や油圧等で駆動する機械式の制御機構を有していません。このため供用中に装置が故障する危険性は低く、また装置の運転には動力源を必要としません。※ボルテックスバルブカタログより抜粋
模型にするため何度も打ち合わせを行った担当者の野田はもちろんですが、この記事を書くために勉強した私もこの装置のすばらしさに感銘をうけました。現在の貯留槽に大工事を施すでもなく、動力が必要なわけでもなく、それでいて排出量をコントロールしながら口の詰まりなどの問題も解決。頭がいい人が考えたに違いない…。 こんないいアイデアはぜひ模型にして展示会で紹介するべきだが、担当者の野田いわく模型にするうえでの苦労もいろいろあったとか。二つの貯留槽へ均一に雨が降らなかったり、意図しない場所で泡が発生し流れを妨げてしまったり、つかみどころのない液体を相手に調整に次ぐ調整を施し、やっと毎回同じ結果になる再現性のある展示物となりました。 この模型のなかで貯留槽に優劣をつけて見せていますがわざと大きめな差をつけておりませんで、けっこう忠実。それこそ「水増し」はありませんよ。